リハピラティス協会の中川裕喜です。
今日は体幹や骨盤の評価方法のまとめを記載します。
評価方法自体は重要ではなくその評価結果から何を読みとりどういった運動処方やリハビリがその方にとってより効果的かを『考える』事が一番大切です。
そういった思考も含め簡単にではありますがご紹介します。
運動指導や治療の際にお役立て頂けますと幸いです。
もくじ
第1章
①体幹の評価(前額面)
②肋骨角度の評価
③腹圧評価
第2章
①体幹の評価(矢状面)
②骨盤の前後傾評価
③腰椎の評価(前弯orスウェイバック)
第1章
①体幹の評価(前額面)
ASIS(上前腸骨棘)・第10肋骨この2点のズレを見極めます。
①体幹の評価(前額面)
ASIS(上前腸骨棘)・第10肋骨この2点の位置関係により評価を行います。
■評価ポイント
・胸郭と骨盤に左右のズレがないか?
・第10肋骨とASISの距離に左右差(側屈)がないか?
上記写真エラーの場合
■胸郭が左へズレている
腹圧の左右差や脊柱や胸郭の歪みや変形
脊柱への剪断力の増加
■右側のASISと第10肋骨間が短い
腹斜筋や体幹の側屈に関わる筋肉が短縮、逆に左側の腹部の筋群は伸長されている。
これらの可能性が考えられます。
②肋骨角度の評価
正中線に対する肋骨角度を確認します。
②肋骨角度の評価
■評価ポイント
・肋骨角度 が90°(ニュートラル)か?
・左右の肋骨角度の違いがないか?(理想は正中ラインを軸に左右のアングルが45°づつ広がり合計90°であればニュートラル)
人によって左右で肋骨の角度に違いがある場合があります。
■肋骨角度が90°以上(リブフレア)
ZOA(ゾーン・オブ・オポジション)が浅くなり横隔膜が正常に働かなくなります。
原因:腹斜筋/胸横筋/肋間筋等強制呼気に働く筋群の弱化
呼気で上手く息が吐ききれず肋骨アングルを閉じる事ができない為、体幹が不安定になり腰痛等のリスクが高まる。
■肋骨角度が90°以下(チェストグリッピング)
胸郭の下部が拡張しなくなる。
原因:腹筋群や呼気筋の短縮
吸気で深く息を吸えない為呼吸補助筋を過剰に使う。
1日20,000回行うと言われる呼吸ですが肋骨角度がニュートラルから逸脱すると呼吸筋が上手く働かなくなったり腹圧の低下を引き起こします。
結果呼吸補助筋や本来呼吸で使うべきでない筋肉を代償的に呼吸に使う事で1日20,000回誤った運動パターンを繰り返す事になります。
例えば肩をすくめて呼吸をする代償パターンなら肩コリや50肩/インピンジメント等を引き起こし易く、
腰を反らす事で胸郭を広げて代償するパターンなら腰部の筋肉を過剰に使い過ぎて腰痛を引き起こす可能性があります。
③腹圧の評価
肩に手を置き坐骨に向かって体重をかけて腹部の安定性を評価します。
③腹圧評価
■評価ポイント
座位腹圧評価法
椅子に座った患者の片方の肩に体重をかけた時の腹部の安定感や脇腹の潰れ(側屈)具合を確認します。
腹圧が弱い方は押した時に耐えれず脇腹から側屈するように潰れてしまいます。
潰れない腹圧の強さも大切ですが左右差が大きいと腰痛や姿勢の歪みに繋がります。
しっかり左右差を評価しましょう。
サイドプランクでの腹圧評価
肘と膝を地面についた状態で上体を持ち上げて保持
上からお腹や骨盤の辺りを押してどの位の強さまで耐えられるかを確認します。
地面側の腹圧の強さを検査しています。
*どちらの評価も押した時に潰れやすい方は腹圧が弱化しています。
カルテ記入例
評価結果をビジュアル化する事で全ての評価が繋がり患者さんの体が3Dで診れるようになります!!
ここまでの3つの評価
①体幹の評価(前額面)
②肋骨アングル評価
③腹圧評価
に左右差がある状態で腹筋などの体幹トレーニングを行えばその方の腹圧差や姿勢の歪みは更に大きくなる事が多いです。
つまり鍛える事は身体機能を高めるうえで非常に大切ですがその前段階として左右差や体の歪みを整える事は更に大切です。
運動処方の考え方・・・
例えば3つ目のサイドプランクは評価であると同時にトレーニングとしても使えます。
その為腹圧が弱く苦手な側の保持時間やセット数を多くして腹圧や体幹筋力の左右差を整える事が大切です。
トレーニング処方では左右同じ回数しましょう。という処方がいい場合もあれば左右で変えた方が良い場合もあるという事ですね!!
もし患者様やトレーニング指導をされているお客様で肩の高さや姿勢に歪みがある場合は是非第1章の評価でどこに問題があるのか問題抽出にお使いください。
続きは後日更新したいと思います。